
HOME > 国家試験特徴と対策 出題サンプル一覧 > vol.09
〔問題 1〕 ドーパミン補充療法の長期治療者にみられる合併症で正しいのはどれか。
a.on-off現象
b.レールミッテ徴候
c.ブルジンスキー徴候
d.wearing-off現象
1.a、b 2. a、d 3. b、c 4. c、d
| a.【○】 | ここがポイント参照 |
| b.【×】 | レールミッテ徴候とは、頸部を前屈すると、脊柱に電撃痛が生じる徴候であり、多発性硬化症の知覚障害としてみられる。 |
| c.【×】 | ブルジンスキー徴候とは、頭を人の手によって他動的に前に屈曲させると自然に膝関節と股関節が屈曲する徴候である。これは髄膜刺激徴候でありクモ膜下出血のときなどにみられる。 |
| d.【○】 | wearing-off現象とは、薬剤の効果の変動が激しく、症状の日内変動をみる現象である。この現象は薬効の持続時間が短くなっていることを示し、これもドーパミン補充療法の治療の長期過程でみられる副作用である。 |
on-off現象とは、ドーパミンの血中濃度に関係なく、効果がみられる状態(on)と、
効果のみられない状態(off)が急速に交代し、1日に何回もくり返す現象である。
ドーパミン補充療法の治療の長期過程でみられる副作用である。

〔問題 2〕 高齢者の体温調節について正しいのはどれか。
1.高齢者では、上皮細胞の萎縮や脱落、皮脂腺、汗腺の働きが低下しているが、体温調節には関係ない。
2.高齢者の発熱の原因として脱水症の可能性は考えられない。
3.高齢の女性では、膀胱炎から上行した腎盂腎炎で高熱を発することがある。
4.高齢者では平熱が低下するので、発熱に対する注意は重要ではない。
| 1.【×】 | 皮膚の機能には、体温調節、細菌・異物の侵入の予防、身体の保護作用があり、高齢者ではこれらの機能が低下し、体温調節は難しいと考えられる。 |
| 2.【×】 | 高齢者の発熱の原因には、感染性のものと、非感染性のものがあり、後者では特に脱水症が挙げられる。 |
| 3.【○】 | 女性は、尿道の長さが短いため感染症にかかりやすい。更に高齢者の場合、腎機能の低下、膀胱容量の低下、排泄機構に関連する筋肉の筋力低下がみられ膀胱炎から腎盂腎炎を引き起こし、高熱を発しやすい。 |
| 4.【×】 | 高齢者では、発熱自体が体力の消耗をまねき、全身の活動性に影響を及ぼす。 |
1)老化とは、加齢に伴う生体機能の低下のことである。このため恒常性(ホメオスターシス)の維持が
困難となり、この過程で様々な生理機能の低下がみられる。
2)生体には、細胞の代謝と機能を維持するために、身体の内部環境を一定に保とうとする働きがある。
この中に、老化に伴い体温調節中枢が適切に作動しなくなり、体温が異常に低下する例もある。
また、血圧の変動が大きくなり、起立性の低血圧を起こすことや、水分調節に利用できる
細胞内水分量が少ないこと、腎機能の低下などから、脱水・低カリウム血症および
低ナトリウム血症も来しやすい。
3)高齢者の身体の特徴
| 機能 | 変化の特徴 |
| 基礎体力 | 回復力、予備力、抵抗力、免疫機能、適応力の低下 |
| 運動機能 | 動作性、立ち直り反応の低下、重心動揺の増大、関節可動域の制限 筋力の低下(ただし握力の低下は比較的少ない) |
| 感覚機能 | 皮膚感覚、視力(暗順応)の低下、聴力(高音域)低下、味覚(塩味)の低下 |
| 生理的機能 | 渇中枢の感受性低下 各臓器の機能低下(消化液分泌&蠕動運動、腎の濃縮機能、運動負荷時の 心拍出量、血色素、気管粘膜の線毛運動、骨量、女性ホルモン) 収縮期血圧の上昇、左室肥大、肺残気量の増大 |
| 反射 | 咽頭反射の低下、咳嗽反射の低下 |
| 調節機能 | 体温調節 |
| 体内水分量 | 細胞内液量の低下 |
| 精神的機能 | 記銘力・想起力の低下、心理的変化(不安、失望感、孤独感) |
〔問題 3〕 下痢を訴える高齢者の看護について誤っているのはどれか。
1.高齢者は、抵抗力や免疫機能低下により下痢を生じやすい。
2.高齢者は、機能的な原因での下痢と同時に、ストレス性の下痢も考える。
3.常習便秘の場合、下剤の乱用から下痢を生じやすいので注意する。
4.下痢を訴える高齢者には、水分は禁止した方がよい。
| 1.【○】 | 高齢者は、抵抗力や免疫機能低下による感染からの胃腸炎などで下痢を生じやすい。 |
| 2.【○】 | 高齢者の下痢の原因には、周囲の人間関係、環境の変化によるストレスからの自律神経系の乱れなどがある。 |
| 3.【○】 | 高齢者は、常習便秘にもなりやすいが、下剤の乱用から下痢と便秘を繰り返すことになりやすい。 |
| 4.【×】 | 下痢を生じているからといって水分を摂取しないと脱水症状を来すおそれがある。 |
1)高齢者の生理的な機能の低下、体内水分量の減少、精神的機能の変化など、身体的心理的な特徴を
十分理解しておくことが必要である。また、下痢が続くと、食欲不振、腹痛、全身倦怠感、
肛門周囲のびらん、血液中の電解質の異常、栄養状態の悪化につながるので注意する。
2)急性下痢と慢性下痢
| 急性下痢 | 原因としては食中毒によることが一番多く、パラチフス菌などの細菌や冷たい飲み物や消化しにくい食べ物を食べたこと、寝冷えなどが原因 |
| 慢性下痢 | ストレスなど心理的な要因により生じる過敏性腸症候群や潰瘍性大腸炎、糖尿病、吸収不良症候群、大腸がん、胃や肝臓、胆道、膵臓の病気などが原因 |
〔問題 4〕 右大腿骨頸部内側骨折で人工骨頭置換術を受け入院中の80歳の女性に対する看護で
誤っているのはどれか。
1.筋力の低下を防ぐため、上肢および健側下肢の運動を行う。
2.入院中は声かけや会話の機会を多くもつようにする。
3.手術直後は脱臼を予防するため、右股関節を内転位に保つ。
4.水分は積極的に摂取するよう勧める。
| 1.【○】 | 筋力保持のため、上肢および健側下肢の運動は、手術前から行う。 |
| 2.【○】 | 入院による環境変化と身体抑制からくる精神活動の低下を防ぐため、会話など精神活動の機会を多くもつようにする。 |
| 3.【×】 | 股関節の脱臼を予防するためには、軽度の外転位を保つ。 |
| 4.【○】 | 高齢者は口渇感の低下等により水分摂取量が減少する場合がある。脱水をまねきやすいので、水分摂取は積極的に勧める。 |
1)大腿骨頸部内側骨折は、骨折部が骨膜を欠く関節内包にあるため血行不良になりやすく、また、
体重負荷が剪力として働きやすく、骨癒着が起こりにくい。高齢者の場合は長期臥床を避け、
早期離床を図るため、当初より人工骨頭置換術を行うことが多い。
2)大腿骨頸部骨折は、若年者では交通事故や転落事故、高齢者の場合は転倒などの際に
起こることが多い。特に骨粗鬆症のある高齢女性などは、軽い転倒でも起こることがある。
〔問題 5〕 慢性肺気腫の高齢者の看護として適切でないのはどれか。
1.呼吸訓練は腹式呼吸を指導する。
2.呼吸不全に陥ったときは、高濃度の酸素吸入を行う。
3.適切な栄養摂取によりやせを防止する。
4.痰を認める場合には、体位ドレナージを行う。
| 1.【○】 | 呼吸訓練は横隔膜運動を意識して行わせることと、気道の早期虚脱を防止することを目的として行い、腹式呼吸を指導する。 |
| 2.【×】 | 呼吸不全(空気吸入下でPaO2<60mmHg)では酸素吸入を行うが、閉塞性肺疾患では、高濃度の酸素吸入は換気を抑圧し、高炭酸ガス血症、CO2ナルコーシスを誘発することがある。24〜32%の低濃度の酸素を鼻腔カテーテル、またはカニューレで0.3〜1.5?/分程度で、動脈血酸素分圧(PaO2)、動脈血炭酸ガス分圧(PaCO2)を測定しながら吸入させる。 |
| 3.【○】 | 肺気腫では低酸素血症により消化吸収の能力が低下し、体重減少をまねきやすい。適切な栄養によりやせを防止することが大切である。 |
| 4.【○】 | 体位ドレナージを行って気道をクリーンに保つことが、息切れの軽減と気道感染の防止に有効である。 |
1)肺気腫は肺のびまん性の過膨脹に肺胞壁の破壊を伴う高齢者の疾患で、慢性閉塞性肺疾患の
代表例である。原因には喫煙、化学物質、α1-アンチトリプシン欠乏などがあり、
徐々に進行する息切れが主症状である。
2)呼吸不全で酸素吸入を行う際には、患者の意識状態の観察も重要である。
急速に意識レベルが低下するとき(1〜2時間)には、CO2の蓄積によるCO2ナルコーシスを疑い
適切な処置をとる必要がある。